(以下は平成28年度部報に掲載予定の報告ですが、発行に先立って掲載いたします。)

指導部より

一昨年10月指導部が発足してから2年あまりが経過しましたが、部報紙上をお借りしてこの1年の活動を報告させていただきます。

Ⅰ.この1年(2016年1月-12月)の活動

1) 部馬の動静

       ピュアメモリーの離厩
         ピュアメモリーは2013年に大浦牧場から入厩し、練習馬として使用されてきました。14歳と年齢的にはまだ使える年齢でしたが、故障が多い、歩様があまりよくない、初心者に対する安全など練習馬としても問題があることから4月30日(土)離厩させる判断となりました。離厩先は再び大浦牧場に引き取っていただくことができました。
 
       ドラゴンケーニッヒの入厩
         かねてから、現有部馬の年齢構成、今後の調教若手OB確保の展望などから、1頭の新馬の導入を検討してきましたが、ドラゴンケーニッヒ(4歳、セン、 鹿毛、2012年2月5日生、父:ディープインパクト、母:カリ)がノーザンファームから10月 8日(土)入厩しました。高額で取引された馬で、まだ4歳と若く、故障がないのは珍しいとのことで、大成が期待されます。
 
       チェリーアドミラルの離厩
         チェリーアドミラル(23歳)は、北大馬術部にいたのは6年余りですが、その10年ぐらい前からアルバイト先としてマオイホースパークで乗せていただいたり、短期間北大に貸していただいたりして使用するなど、長期間お世話になった馬でした。まだ練習馬として貴重な存在でしたが、年齢による衰えが見られ、離厩を決断するに至りました。幸いマオイホースパークでまた引き取っていただけることになり、11月 6日(日)に離厩しました。
 
       北焔(ファイアマリオ)の離厩
        ファイアマリオ(22歳)は、2010年馬事公苑から入厩して以来、数少ない競技馬として活躍し、今年も全日本学生馬術大会に出場しました。難しい判断でしたが、離厩させる決断をしました。高齢に加え、足元が丈夫でない、乗りやすい馬ではないなどの点もあり、引き取っていただける先がなかなか見つかりませんでしたが、幸い旭川乗馬クラブで引き取っていただけることになり、12月 1日(木)に離厩しました。
 

Ⅱ.ミーティング

昨年ほどではありませんでしたが、この1年間も指導部内、指導部と現役、新馬調教者の間で必要に応じて呼びかけ、話し合いがもたれてきました。

現役との懇談会など

       4月2日(土)
         新馬調教OBの担当組み替えなどについて懇談した。また、これに先立って指導部と新馬調教OBとのプレミーティングももたれた。
 
       5月7日(土)
         指導部・新馬調教担当若手OBと現役3、4年生の間で、「カノンコードの準備馬場での不従順」についてその原因と今後の対処について意見交換し、担当OBを変えるなどの措置をとった。今後の新緑大会、及び次の大会からの出場若手・現役騎乗者の組を決めた。その他、練習におい自分で課題意識をもって運動すること、それが難しければ、自分のレベルにあった馬場種目の一部分を繰り返し練習するとか、もっと部班運動を取り入れることなどの発言があった。
 
       6月12日(日)
         部長、指導部、新馬調教若手OBの間で、「部活動において各部員の役割が固定化しているとの指導部の懸念」に対して、実情の把握や問題の解決の糸口を探るために、意見交換を行った。
 
       7月2日(土)
        指導部・新馬調教若手OBと2年生以上の現役との間で懇談会を行った。指導部からの主題は、「部活動において各部員の役割が固定化しているとの指導部の懸念」を伝え、改善を図ることであった。具体的には、練習で騎乗している部員、試合に出場する部員が固定化しているように思われること、及び最近部員の退部が多いように思われることであった。これらについて意見交換を行った。他には引き馬の大切さ、部班運動をもっと多くの馬で行う、号令のかけ方の統一、ジンギスカンパーティーなどの提案があった。いままでのミーティングと違い今回の特徴は2年生が多く参加したことであり、我々の考えていることを多くの現役に直接わかってもらう意味合いからは、意義があったのではないかと思われる。
 
       指導部報告会(9月26日(日))
        OB有志からの要望を受けて「指導部報告会」が農学部で開催された。出席者は14名でした。これに先立って7名のOB有志の方々から指導部に対し要望書が出されました。当日指導部からの報告の後、これに関連して部活動の現状、部員の意識、指導体制、財政支援などについて意見交換がされた。
 

Ⅲ.まとめ ― 現状と今後の課題

1) 繋養馬と新馬調教

       指導部発足当時20歳を超える馬が4頭、また借用馬2頭がいて、入れ替えによる世代交代と整理、新馬の導入・調教が急がれた。このため、老齢馬を離厩させ、借用馬の契約延長を行わなかった結果、昨年までの1年間で離厩馬4頭、入厩馬6頭と大幅な繋養馬の変動があった。それに比べ、この1年間は前述のように離厩馬3頭、入厩馬1頭と変動は大幅に減少し、ほぼ定常的な入退厩数に近づきつつあると考えている。
これらの新馬は指導部発足前にすでに入厩していた3頭を加えて現在8頭いるが、これらは若いOB3氏(江口(H25)、小山(H27)、中津(H28))により調教されている。このうち北咲(チェルシー)は馬体の状態が現状では障害飛越に耐えられないと判断し、馬場運動の他部班で使用されていること、ドラゴンケーニッヒは入厩間もなく調教が進んでいないことを除けば、他の6頭即ち、北騅(アップヒルティガー)、北鷹(シュガーシャック)、北響(カノンコード)、北稜(ダノンアンチョ)、北汐(タイダルベイスン)、北暁(ノーステア)、は大きな故障もなく概ね順調に調教が進んでいる。また、馬により状況によりOBから現役への調教主体の移行も進んでいる。北大馬場以外の会場でも大会ごとに経験をつみ、現在80-90cmまでの障害種目で皆ゴールしている。これからは全日本学生への権利獲得を見据えたレベルアップが必要であるが、来年の北日本学生大会には2-3頭が出場できるのではないかと期待している。

2)部活動、練習

      ミーティングの項で述べた「部活動で各部員の役割が固定化しているのではないか」との指導部の懸念は、指導部内だけではなく多くのOBにも共通して危惧されている点であり、9月25日の指導部報告会でも議論された。
もとより、部活動の主体は現役部員であるから、問題が生ずれば部員同士が議論して自らが解決していくのが大前提である。以下はそれを前提にしての助言・希望である。部員の目的は、試合に出てよい成績をあげることを目的とするいわゆる「選手指向」型とそうでない型に「結果的に」分かれるのかもしれないが、みんな馬に乗りたくて入部したはずであるからほとんど皆が「乗馬指向型」であるはずである。したがって、部員全員にまず騎乗機会を保証する努力をするのが部活動の原則であろう。もっとも、この点については、かなり改善されてきていると思うが、一層の改善が望まれよう。大会出場選手についても同じことが言えるように思われる。馬体の状態、調教段階に配慮しつつも、現在よりも多くの部員に試合参加の機会を与えるべきと思われる。
 
      さらに大切なことは、「選手指向」型への扉が常に開かれていることであろう。早く上達する部員もいれば、大器晩成型もいる。練習の成果により、あるいは意欲の向上により、新たな選手が輩出しお互いに刺激しあい競い合うダイナミズムが望まれる。現状は選手層が固定していて、層が薄いという印象がぬぐえない。
 
      関連すると思われるが、最近退部する部員が多いのも気がかりな点である。部活動では、基本的には「数は力」の面があろう。部員が少ないと財政面でも、マンパワーの点でも、雰囲気という面でも活気を失うなど問題が多い。数が少ない学年は卒部まで(OBになっても)その影響が及ぶ。馬術部は運動部である以上「北日本・全日本学生馬術大会でよい(団体)成績を目指すという共通目的の共有」が大前提であるが、部活動におけるそれぞれの役割をお互いに認め、部員それぞれの目的に応じた活動が保証され、実現するような「多くの退部者を出さない部活動」を追求してほしいと思っている。これらの問題の解決には即効薬はないかもしれないが。
 
      昨年度の報告にも記した内容に関しては、
 
      来年もさらに系統的な練習体系の構築が望まれる(特に1年生に対し)。もっともこれは、指導部の課題でもあるが。
 
      昨年述べた合宿については、12月末に実施したと報告を受けている。
 
       その他、今後の検討問題としては、
 
      年間の大会スケジュールはかなりつまっている感じがする。開催時期、労力的及び財政的負担を考えると、1年間に参加している大会を整理し、それぞれの位置づけを再確認してみる必要があるように思われる(例えば、七大学戦などの貸与馬戦の位置づけなど)。
 
以上
 

(2017-1-15 文責 市川 瑞彦)


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