2015年3月30日
言うまでもなく、北大馬術部は北大体育会所属の公認サークルである。したがって、北大馬術部が活動する場である、馬場、部室、厩舎などは部の所有物ではなく教育施設であり、その維持も国民の税金によって賄われる公共施設である。繋養する部馬も個人のものではなく、部員全体の馬であり、自馬競技といえども参加できない部員も含めて全体の代表として参加するとの意識も重要であろう。また同時に、馬術部の背後に約300人のOBの存在がある。部活動も長い時間的スパンで見れば、現役部員だけの独立した活動ではなく、「過去及び未来の部員」とも密接な関連をもっている点も忘れてはならないことである。
馬術部は運動部である以上、「北日本学生馬術大会や全日本学生馬術大会でよい団体成績をあげたい」という目標を掲げるのは当然であるが、その目標達成に向けての活動の過程で社会人として要求される基本的マナー・能力を習得することも劣らず重要である。即ち、部員同士の間で自由な議論を通じてお互いの主張を理解し合意を形成していくコミュニケーション能力があること、一旦結論が得られたら目標に向かって推進していく実行力があること、その過程で関係者にあいさつ、返事、適切なホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができること、などである。 これらの点を踏まえて、以下に具体的に述べる。
権限と責任に関していえば、北大馬術部は大学の組織である以上、最も権限があり責任もあるのは、顧問教官である部長であり、指導部(監督、監督補佐の集団を指導部と呼ぶことにするが、場合によってはOBをも含む)は、部長から委嘱されて権限と責任が発生し、現役部員に指導・助言を与える立場にあるという関係にある。主将以下の現役部員は複数年に亘る事柄についてはその責任をもち得ない。したがって、指導部に要請されているのは、長期間を見据えた視点で指導と助言を与えていくことである。
全国の大学馬術部の例をみると、部長・指導部の権限と現役の権限がどのように境界を接するのかということになると、かなりの幅があるように思われる。一部の大学の馬術部では、現役の権限は限定的で、馬配・出場大会と出場種目の決定権限が指導部側にある。北大馬術部の場合、札幌国体の後昭和29年に自馬をもって以来約60年になるが、その間監督がいたのは半分の30年間(岡田光夫氏)であり、残りの30年間は監督がいなかった。しかし、実質的な意味では全期間を通じて部活動は現役部員が権限と責任をもって自主的に行ってきたと言えよう。指導部としても、これを踏襲するのが妥当と考えている。
馬配、大会出場、競技種目のエントリーなどについては、現役の意向を尊重したいと考えているが、例えば、馬配が著しく不適切、偏りがある、調教レベルからみて出場種目が時期尚早、出場が多すぎるなどの場合には、指導・助言をすることもありうると思われる。 指導部の指導・助言が特に必要と考えているのは、乗馬技術、練習方法、厩舎管理などであるが、その他には、その年の現役部員には責任がもてない以下のような「長期間に影響を及ぼす」問題である。