「お馬さんの唄」

宮崎 健(昭和38年卒)


北大馬術部の”第二部歌”とでもいおうか、昭和30年代までのOBに歌い継がれたのがこの歌。正式なタイトルとてないようなので「お馬さんの唄」とでもしておくが、打ち上げなどで「都ぞ弥生」のあとよく歌われた。

筆者(昭和38年卒)のときは主将、森本悌次氏から教わった。現在も生田勝一・東京OB会副会長中心にこの前後の世代が新年会などで歌っているので聞き覚えのOBも多いことだろうが、歌詞もメロディーも簡単・明瞭で、いかにも即席でつくられたのがわかる。「軍馬」「蒙古馬」(この品種は現存する)、「支那」などの言葉から見て戦前につくられたものだろう。

北大馬術部の創作か、他の大学馬術部でもあるのか来歴をご存知の方は教えていただきたい。この動画は2009年1月開催の「東京OB会新年会・総会」の最後に歌われたものを録画したのだが、すでに歌詞がうろ覚えの人もいる。もっと若い世代はまるで知らないようで、眺めていた。

またビデオの後半に「北大馬術部讃歌」も入っている。作詞・三浦清一郎(S39年)、作曲・滝沢南海雄(S40年)のコンビによる力作で、両氏以降20年間ほどのOBに膾炙、部報には歌詞と楽譜が掲載されていたが、こちらも現在では歌われなくなっているようだ。

「お馬さんの唄」
生まれたときから面長で ヒンヒン育ったのんきもの
軍馬や競馬や曲馬の馬なら 身分のよい方だ
まったくそうだよ タタンカ タカタカ
ジャジャ馬 ヤジ馬 トン馬に ノロ馬に
そのまた上手(うわて)のキツネ馬
馬鹿は死ななきゃ治らないとは おいらのせいじゃない

支那のお馬はトコトコと お耳の長いのや丸ポチャの
蒙古馬やらオモチャのロバさん ノンキに歩いてる
まったくそうだよ タタンカ タカタカ
顔でも 首でも 足でも 腹でも だんぜんすごいよ男前
同じ肉でも桜肉とはうまいじゃないか。

「お馬さんの唄」(2009年1月24日、東京OB会での録画)


由来は「東京農工大学農学部獣医科」の「おうまの歌」

北大馬術部で歌われてきたこの歌の由来をご存知の方はいませんか、と書いたところさっそく反響があった。
大場善明氏(昭和37年卒)のメールを紹介する。

私が教わったのも、奇しくも宮崎健兄と同じ、S35年卒「森本悌次」先輩からです。サイロの隣の石造りの部室で、チラシの裏にニコニコと歌詞を丁寧に書き込んでくれた森本先輩の姿が浮かびます。このとき題はたしか「おんまのうた」で、生田勝一先輩のビデオでも「お・ん・ま・の・う・た」と聞こえるように思います。

この歌の作詞、作曲は不明ですが、ビデオでも樋口正明・東京OB会会長が、元歌について述べられていますように、「S30 年ころ、東京農工大学馬術部の愛唱歌として歌われていたのを、S31卒の宮澤寛先輩が北大馬術部に伝え、S34卒の生田勝一兄が部内外に広めた」もののようです。

東京農工大学馬術部サイトには、当時、東京農工大学では各学部ごとに、「学部の歌」が作られていて、S34年の「東京農工大学 農学部歌集」に、「獣医科 おうまの歌」として紹介されています。これを同大馬術部が愛唱歌にしていたようです。
北大馬術部「お馬さんの唄」とわずかながら歌詞の異なる箇所があります。2番の歌詞で、「ぜんぜんすごいよ男前」(農工大)が、「だんぜんすごいよ男前」(北大)というところと、「まったくそうだよ タタンカ タカタカ」のまえに「ソレ」という合いの手が入っているところです。

私の学生時代、S33年には樋口さん、鎌田さん、千葉(幹)さん、生田さん、森本さんなどが、東京農工大主催の「東日本学生馬術大会」で優勝できた楽しい思い出があります。


おうまのうた楽譜

(おわり)

ページトップへ  パドックトップへ